【介護職向け】膝が痛い方(変形性膝関節症)の歩行・移乗介助のコツ〜理学療法士が伝えたい、実際に役立つ支援のポイント〜

【はじめに】

「立ち上がるときに“痛いっ”と顔をゆがめる」
「階段や段差を嫌がって動かない」
こうした場面、現場でよく見かけませんか?

今回は、膝が痛い高齢者=**変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)**の方への介助について、
**介護職の方に知っておいてほしい“安全に・安心して介助するための視点”**をお伝えします。

【変形性膝関節症とは?】

加齢や使いすぎ、筋力低下などが原因で、膝の軟骨がすり減って炎症や変形が起きる疾患です。

よくある特徴:

  • 動き始めに痛みが強い(例:立ち上がり時)
  • 階段の昇降、和式トイレなどのしゃがみ動作が困難
  • 関節の腫れ、熱感、O脚傾向がある
  • 膝が伸びきらず、曲がりづらい

これらの症状により、**「立てない」「歩けない」「転びやすい」**というリスクが生まれます。

【介助時によくある失敗と危険サイン】

❌ 無理に膝を伸ばさせようとする

➡ 炎症のある膝は「無理に伸ばす=強い痛み」を招きます。

❌ 段差の昇降で手すりを使わせない

➡ 膝に体重がかかるタイミングが最も痛い。支持物の活用が必須です。

❌ 座る・立つ動作を急がせる

➡ 動き始めが最も痛く、焦らせると転倒リスクが上がります。

【理学療法士が伝えたい!安全介助のコツ3選】

✅ ①「立ち上がり動作」には
高さの工夫を

  • 椅子の高さを高めに設定(膝の角度90度以上)
  • 低すぎる椅子や床に座らせない(和室・座椅子は要注意)

✅ ② 歩くときは**「最初の一歩」に時間をかける**

  • 動き始めの痛みが強いため、まず**「足を肩幅に開いて立位安定」→「左右へ2〜3往復体重をかける」→「一歩目」**がスムーズになるよう声かけ
  • 杖や歩行器を使う方は「準備→安定→スタート」の流れをサポート

✅ ③ 階段・段差では「手すり+非対称介助」で支える

  • 上り:健側(痛くない方)から
  • 下り:患側(痛い方)から
  • 介助者は反対側に立ち、膝への負担が少ないように補助

【まとめ】

変形性膝関節症の方には、
**「痛いから動けない」「動かさないと悪化する」というジレンマがあります。
だからこそ、介護職の皆さんの“ちょっとした工夫”**が大きな助けになります。

膝の痛みを理解し、安心して動ける環境を一緒に作っていきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました