【理学療法士が教える】尿管バルーンがついている方の移乗介助|管を守る3つのコツ

✅ はじめに

「移乗のとき、尿管バルーンの管が絡まってヒヤッとした…」
「管を引っ張りそうで、どう持てばいいかわからない」

そんな経験はありませんか?
尿道留置カテーテル(尿管バルーン)は、トランスファー(移乗)の際に細心の注意が必要な医療機器です。

今回は、**理学療法士の視点から、尿管バルーンがついている方の移乗時の“管の守り方・介助のコツ”**を解説します。

✅ 尿管バルーンの基本的な理解

  • 尿道から膀胱にチューブ(カテーテル)が挿入され、膀胱内に尿をためず常時排出する仕組み
  • カテーテル先端の**小さな風船(バルーン)**が膀胱内で膨らみ、抜けないよう固定されている

👉 このため、外からチューブを引っ張ると膀胱や尿道に強い痛みや損傷のリスクがある

  • カテーテルは柔らかい細い管で、そこから尿が常に尿バッグへ流れる
    → 管がねじれたり、高い位置に吊られたりすると、尿の流れが止まったり逆流したりして感染リスクが高まる
  • 移乗時は「この管が身体とどのようにつながっているか」を意識することが大切

✅ 管の扱い方|3つの基本ポイント

① 「管の位置を必ず確認する」

  • 事前確認が必須。
    → どこに尿バッグがある?管はどこを通っている?
    → 管がベッド柵・衣類・車椅子の部品に絡んでいないかチェック。
  • 尿バッグは基本膝下より低い位置に設置されている。
    → バッグを高く上げると尿が逆流し、感染リスクが高まる。

② 「動作中、管の“ゆとり”を確保する」

  • 移乗の際は、チューブに少し余裕がある状態をキープ。
  • 介助者が管の走行に注意しながら、テンションがかからないよう手でフォローする。

💡 例)車椅子に移乗の場合
→ 尿バッグの位置を移乗先(車椅子)側に事前に動かしておく
→ バッグを動かさずに本人だけ移動させると管が引っ張られる危険あり。

③ 「移乗後すぐに管の走行と尿バッグ位置を再確認」

  • トランスが終わった後、必ず管がねじれていないか確認。
  • 尿バッグが適正な位置(膝下・足元側)に収まっているか確認。
  • 管が本人の足元や床に引っかからないよう配置する。

✅ よくあるNGパターン

❌ バッグの位置を動かさず本人だけを移動
→ 管が張って尿道を引っ張る。

❌ 管の走行確認なしで衣類の上から動作
→ 管が絡んだまま移乗 → 強い痛み+損傷の恐れ。

❌ バッグをベッドより高く吊って移動
→ 尿逆流 → 感染リスク上昇。

✅ まとめ

尿管バルーンつきの方の移乗では、
「管を守る」ことが最優先事項です。

✅ 事前に管の位置を確認
✅ 動作中は管にテンションがかからないよう配慮
✅ 移乗後は管とバッグの位置確認を忘れずに

ほんの少しの意識で、痛みや事故のリスクを大きく減らすことができます。
現場の介助時の参考になれば幸いです。

✅ 筆者プロフィール

理学療法士|介護老人保健施設勤務|主任
運動器認定理学療法士/介護支援専門員/福祉住環境コーディネーター2級
介護現場で役立つ「介護職向けの安全な介助のコツ」を発信しています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました